カブサーではこれまで、エヌビディア・キオクシア・東京エレクトロン・アドバンテストなど、たくさんの「半導体(はんどうたい)関連会社」を紹介してきました。
でも、こんな疑問を持ったことはありませんか?
「半導体の会社って、こんなにたくさんあるの? みんな同じことをしているんじゃないの?」
実は、半導体という一つの部品ができあがるまでには、とても長い道のりがあり、それぞれの工程を専門にする、全く違う種類の会社が関わっています。
今日から始まる【業界研究編】シリーズの第1回では、この「半導体業界の全体像」を、じっくり整理していきましょう!

お問い合わせ・無料体験・個別相談は
そもそも「半導体」って何?
半導体とは、電気を通したり通さなかったりする性質を持つ、コンピューターの頭脳にあたる部品のことです。
スマートフォン、パソコン、ゲーム機、車、家電…
現代のほとんどの電子機器に、この半導体が使われています。半導体がなければ、これらの機械は動きません。
半導体は「産業のコメ」とも呼ばれるほど、あらゆる製品作りに欠かせない、超重要な部品なのです。
半導体ができるまでの「4つの工程」
半導体が完成品として世の中に出るまでには、大きく分けて4つの工程があります。それぞれ、専門にしている会社の種類が違います。
- 設計
- 製造装置づくり
- 製造(+検査)
- 材料の供給
一つずつ、順番に見ていきましょう。
①「設計」を専門にする会社
半導体を作るには、まず「どんな回路にするか」という設計図が必要です。
料理でたとえるなら、これは「レシピを作る人」にあたります。実際に調理をするのではなく、「どんな材料を、どんな手順で組み合わせれば、美味しい料理(高性能な半導体)ができるか」を考える役割です。
アメリカの巨大半導体メーカーであるエヌビディアは、まさにこの「設計」を専門にしている会社の代表格です。AI向けの高性能なチップの設計図を作り、実際の製造は、別の専門会社にお願いしています。
カブサーのソフトバンクグループ記事で紹介したアームも、この設計の分野で強みを持つ会社です。
②「製造装置」を作る会社
設計図ができても、それだけでは半導体は完成しません。設計図通りに、実際に半導体を作るための、専用の機械(製造装置)が必要です。
これは料理でたとえるなら、「オーブンやミキサーなど、調理道具を作る人」にあたります。
カブサーで何度も登場した東京エレクトロンやアドバンテストは、この製造装置を作る会社です。
東京エレクトロンは、半導体の材料に薄い膜をつけたり、不要な部分を削ったりする装置を作っています。アドバンテストは、完成した半導体が「ちゃんと正しく動くか」を検査するための装置を作っています。
半導体そのものを作っているわけではなく、「半導体を作るための道具」を作っているのが、この分野の会社の特徴です。
③「製造」を専門にする会社
設計図と製造装置がそろったら、いよいよ実際に半導体を作る工程です。
料理でたとえるなら、これは「実際に調理をするシェフ」にあたります。エヌビディアのような設計会社から依頼を受けて、実際に工場で半導体を製造する、「製造専門」の会社があります。こういう会社のことを「ファウンドリ(受託製造会社)」と呼びます。
世界最強クラスのファウンドリが、台湾のTSMCという会社です。エヌビディアなどが作った設計図を受け取り、世界最高水準の技術で実際に半導体を製造しています。
TSMCは日本の熊本県にも「JASM」という子会社を設立し、大きな工場を建設しました。ソニーやデンソー、トヨタ自動車も一部出資しており、日本の半導体産業にとっても大きなニュースになりました。
半導体には、大きく分けて2つの種類があります。
ロジック半導体
計算や処理を行う、頭脳にあたる半導体。エヌビディアが設計し、TSMCが製造するようなAI向けチップも、このタイプです。
メモリー半導体
データを記憶しておくための半導体。カブサーで何度も紹介したキオクシアは、このメモリー半導体(特にNAND型フラッシュメモリー)を作っている会社です。
キオクシアの場合、TSMCのような「他社から注文を受けて作る」のではなく、自社で設計から製造まで手がけている点が特徴です。
④「材料」を供給する会社
半導体を作るには、特殊な材料も欠かせません。
料理でたとえるなら、「小麦粉や砂糖などの原材料を作る農家」にあたります。
半導体の土台になる「シリコンウエハー」という薄い円盤や、回路を転写するための「フォトレジスト」という感光材など、専門的な材料を作る会社があります。
日本には、この分野で世界的に強い会社がいくつもあります。SUMCOはシリコンウエハーで、信越化学工業もシリコンウエハーや関連材料で、世界トップクラスのシェアを持つ会社です。
こうした材料を作る会社は、地味に見えますが、半導体作りには絶対に欠かせない存在です。
なぜ、こんなに細かく分かれているの?
「1つの会社が、設計から製造、装置作りまで全部やればいいのでは?」と思うかもしれません。
でも、半導体作りは、それぞれの工程がとても高度で専門的なため、「餅は餅屋」つまりそれぞれの専門家に任せた方が、より良いものができる、という考え方が広がっています。
設計を専門にする会社は、設計の技術をとことん磨くことに集中できます。製造装置を作る会社は、装置の性能を高めることに専念できます。
このように役割を分担することで、業界全体として、より高性能な半導体を、より効率よく作れるようになっているのです。
半導体業界の会社を、役割ごとに整理しよう
これまでカブサーで紹介してきた会社を、役割ごとに整理してみましょう。
| 役割 | 会社の例 | たとえるなら |
|---|---|---|
| 設計 | エヌビディア、アーム | レシピを作る人 |
| 製造装置 | 東京エレクトロン、アドバンテスト | 調理道具を作る人 |
| 製造 | TSMC(ロジック)、キオクシア(メモリー) | 実際に調理するシェフ |
| 材料 | SUMCO、信越化学工業(シリコンウエハーなど) | 原材料を作る農家 |
こうして整理してみると、「半導体関連株」と一言でいっても、実はそれぞれ全く違う役割を担っていることが分かりますね。
投資家目線で見ると、どんな意味があるの?
このように業界の構造を理解しておくと、ニュースを読むときの視点が変わってきます。
たとえば、「AI向けの半導体需要が伸びている」というニュースが出たとき、こんなふうに考えを広げられます。
- 設計会社(エヌビディアなど)の売上が伸びるかもしれない
- 製造装置を作る会社にも、新しい注文が増えるかもしれない
- メモリーを作る会社(キオクシアなど)にも、追い風が吹くかもしれない
- 材料を供給する会社にも、間接的な恩恵があるかもしれない
一つのニュースから、「川上から川下まで、業界全体にどう波及するか」を考える視点が身につきます。
逆に、ある会社に悪いニュースがあったとき、「これは設計の問題なのか、製造の問題なのか、それとも材料の問題なのか」を考えることで、影響がどこまで広がりそうかを推測する手がかりにもなります。
今日学んだことを整理しよう
- 設計(レシピ作り)
エヌビディア、アームなど - 製造装置(調理道具作り)
東京エレクトロン、アドバンテストなど - 製造(調理)
キオクシアなど - 材料(原材料)
シリコンウエハーなどのメーカー
今日学んだ言葉のまとめ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 半導体 | 電気を通したり通さなかったりする性質を持つ、電子機器の頭脳にあたる部品 |
| ファウンドリ | 他社から依頼を受けて、半導体の製造だけを専門に行う会社 |
| ロジック半導体 | 計算や処理を行う半導体 |
| メモリー半導体 | データを記憶しておくための半導体 |
| シリコンウエハー | 半導体の土台になる、薄い円盤状の材料 |
「半導体関連株」とひとくくりにされがちですが、実際には設計・製造装置・製造・材料と、全く違う役割を持つ会社が集まってできている業界です。
次に半導体関連のニュースを見たとき、「この会社は、どの工程を担当しているんだろう?」と考えてみてください。業界全体の仕組みが見えてくると、ニュースの理解がぐっと深まりますよ。
【業界研究編】シリーズ、次回もお楽しみに!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
お問い合わせ・体験レッスンのご案内
もし「子ども向けの金融教育を探している」「子どものうちから金融リテラシーを身につけさせたい」「世の中には色んな会社があることを学ばせたい」「投資の仕組みを知ってほしい」という方は、ぜひカブサーの無料体験レッスンをお申し込みください。株の仕組み、会社の仕組みを丁寧にわかりやすく解説します。

お問い合わせ・無料体験・個別相談は









