【投資家目線で読む】7月の大暴落、犯人は誰だったのか?需給データを追った謎解き

7月は日経平均が過去3番目の大暴落を起こしたり、その後に大きく反発したりと、ジェットコースターのような1ヶ月でしたね。

改めて数字を確認すると、こうなります。

  • 6月25日
    日経平均が史上最高値72,366円をつける
  • 7月29日
    直近の安値61,434円まで下落
  • 下落幅
    10,932円(約-15.1%)
    月間ベースでは4ヶ月ぶりの下げ幅

この激しい下落、専門家の間では「モメンタム・クラッシュ」とも呼ばれ、その規模はリーマン危機発生直後に匹敵する場面もあったというほどの大きな出来事でした。

これだけ大きく売られたのだから、「誰か」が大量に株を売ったに違いない。そう思いますよね。

ところが、金融ジャーナリストの伊賀大記氏が需給データを詳しく調べたところ、驚きの結論が出ました。

「大幅に売り越した犯人のような主体は、見当たらなかった」

今日はこの「なんで?」を一緒に読み解きながら、株式市場の見えない力について学んでいきましょう!

お問い合わせ・無料体験・個別相談は

まず「需給データ」ってどうやって調べるの?

日本取引所グループ(東証を運営している会社)は、「誰が、どれくらい株を売買したか」を、投資家のタイプ別に集計したデータを公表しています。

投資家のタイプは、主にこんなふうに分けられます。

  • 海外投資家
    外国の機関投資家やヘッジファンドなど
  • 個人投資家
    みなさんの家族のような、個人でお金を出す人たち
  • 投資信託(投信)
    たくさんの人からお金を集めて運用する組織
  • 銀行・信託銀行
    お金を預かって運用する金融機関

このデータを見れば、「今回の下落は、主にどのタイプの投資家が売ったから起きたのか」を推理することができます。

いよいよ犯人捜し!結果は…?

伊賀氏は、日経平均が最高値をつけた6月第4週から、安値をつけた7月第5週までの6週間分のデータを、現物株だけでなく先物(さきもの)も含めて詳しく集計しました。

結果は、こうでした。

投資家のタイプ6週間の売り越し額1週あたりの平均
投資信託5,550億円1,000億円未満
海外投資家4,350億円1,000億円未満
銀行3,090億円さらに少ない
信託銀行1,140億円さらに少ない
個人投資家870億円さらに少ない

一番多かった投資信託でも、1週間平均で1,000億円に届いていません。

カブサーの三菱UFJ記事・SBG記事で紹介してきたような、「1つの会社の時価総額が数十兆円」という規模と比べると、この売り越し額は、1万円以上も市場全体を暴落させるほどの圧倒的な量とは言えないのです。

「みんな、少しずつ売っていただけ」

これが、データから見えてきた実態でした。

「犯人」がいないのに、なぜ暴落は起きたの?

ここが今日の一番大切なポイントです。

犯人が見当たらないのに、10,932円もの大暴落が起きた。これは何を意味しているのでしょうか?

「お店の行列」でたとえてみると分かりやすいかもしれません。

お店に人気商品の行列ができているとき、1人だけがものすごい大量に買っているわけではありませんよね。「みんなが少しずつ、同じ方向に動いた」ことで、行列全体が大きく膨らんでいきます。

暴落も同じです。「1つの巨大な売り主体」がいたわけではなく、たくさんの投資家が、それぞれ少しずつ「そろそろ売っておこう」と判断したことが重なって、結果として大きな下落になったと考えられます。

カブサーのキオクシア暴落記事で紹介した「①中国CXMTのIPO観測 ②特許裁判 ③SKハイニックスの業績見通し」という3つの理由も、まさに「みんなが少しずつ不安を感じる材料」でした。それが積み重なって、大きな「雪崩」になったのです。

「モメンタム・クラッシュ」ってどういうこと?

専門家が使っていた「モメンタム・クラッシュ」という言葉も、今日の理解を深めるヒントになります。

モメンタムとは、株価が同じ方向に動き続ける「勢い」のことです。カブサーで何度も学んできた通り、6月までAI・半導体関連株は歴史的な勢いで上昇し続けていました。

でも、勢いがあまりに強く、長く続きすぎると、その反動も大きくなりやすいという性質があります。「モメンタム・クラッシュ」とは、この「強すぎた勢いが、逆方向に急激に崩れる現象」のことを指します。

「誰か1人が悪いことをした」のではなく、「勢いに乗っていたたくさんの投資家が、ほぼ同時にブレーキを踏んだ」ことで、大きな崩れが生まれたと考えられるのです。

投資家として、この「謎解き」から何を学ぶべきか

今回の分析から、投資家として大切な視点を3つ整理しましょう。

①「暴落=誰かの陰謀」と考えるのは早計

大きな下落が起きると、「何か裏があるのでは」「大口が仕組んだのでは」と考えたくなるかもしれません。でも今回のように、データを冷静に確認すると、実際には「特定の犯人」がいないケースも多いのです。

②「勢いが強すぎる相場」は、反動のリスクも大きい

カブサーの投機記事を思い出してください。短期間のうちに株価が急騰すると、その後の反動も大きくなりやすいという法則は、今回のモメンタム・クラッシュでも当てはまります。

③ 公式データを確認する習慣が、冷静な判断につながる

「なんとなく怖い」という感覚だけで判断するのではなく、日本取引所グループが公表しているような公式データを確認することで、より正確に状況を理解できます。

今日学んだ言葉のまとめ

言葉意味
需給データどの投資家タイプが、どれくらい売買したかを示す公式な統計
モメンタム株価が同じ方向に動き続ける「勢い」のこと
モメンタム・クラッシュ強すぎた上昇の勢いが、反動で急激に崩れる現象
売り越し売った金額が、買った金額を上回ること

「あれだけの大暴落なのに、犯人が見当たらない」

この謎解きが教えてくれるのは、株式市場が「誰か1人の意思」ではなく、「たくさんの人の判断が積み重なって動く、複雑な仕組み」だということです。

次に大きな株価の変動を見たとき、「誰が売ったんだろう?」という疑問を、ぜひ需給データという公式な情報で確認してみる習慣をつけてみてください。感覚だけに頼らない、冷静な投資家の目線が育っていきますよ!


お問い合わせ・体験レッスンのご案内

もし「子ども向けの金融教育を探している」「子どものうちから金融リテラシーを身につけさせたい」「世の中には色んな会社があることを学ばせたい」「投資の仕組みを知ってほしい」という方は、ぜひカブサーの無料体験レッスンをお申し込みください。株の仕組み、会社の仕組みを丁寧にわかりやすく解説します。

お問い合わせ・無料体験・個別相談は

お近くの校舎を探す

愛知県(4)大阪府(4)宮崎県(1)

愛知県

大阪府

宮崎県