2026年7月17日、日本の株式市場で記録的な出来事が起きました。
日経平均株価が一時4100円以上も下落し、取引時間中の下げ幅として過去3番目に大きい記録的な暴落となりました。
終値は前日より2694円安い64,141円。1週間だけで4416円も下がり、これは週間下落幅として過去最大の記録です。
中でも衝撃だったのがキオクシアホールディングスの動きです。
- 6月につけた上場来最高値
11万2700円 - 7月17日の安値
5万2110円(ストップ安) - 最高値からの下落率
約54%→つまり半値以下!
6月に時価総額日本一になったキオクシアが、約1ヶ月で半分以下になりました。
「なんでこんなに急激に下がったの?」
今回はこの「なんで?」を3つの理由で整理しながら、投資家として大切なことを考えていきましょう。

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理由① 中国の競合会社がIPOする、というニュース
今回の暴落で一番大きな要因として挙げられているのが、中国の半導体メモリーメーカー「CXMT(長鑫存儲)」のIPO観測です。
カブサーのアップル記事でも登場しましたね。CXMTは中国政府の支援を受けて急成長している会社で、キオクシアやSKハイニックスと同じ「メモリーチップ」を作っています。
そのCXMTが近く株式市場に上場(IPO)して、大量のお金を調達して生産能力をさらに増やすかもしれない…というニュースが流れたのです。
なぜこれが問題になるのでしょうか?
カブサーでこれまで学んできたように、キオクシアの株価が高かった理由は「AIの爆発的な需要でメモリーが足りない→希少なものは高くなる」という構造でした。
でも、CXMTが大量に生産能力を増やすと「メモリーが余り始めるかもしれない」という不安が生まれます。品薄だったものが余りだすと値段が下がります。値段が下がれば、キオクシアの利益も減るかもしれない…という心理が投資家の間に広がって、一斉に「今のうちに売ろう」という動きになったのです。
ポイントは、CXMTのIPOはまだ決まっていないという点です。あくまで「そうなるかもしれない」という観測が流れただけで、キオクシアの実際の業績が悪化したわけではありません。それでも市場が大きく反応するのが、株式市場の特徴です。
理由② 特許裁判で370億円の賠償を命じられた
もう一つの直接的な理由が、特許侵害(とっきょしんがい)の裁判で大きな賠償を命じられたことです。
アメリカのテキサス州の連邦裁判所が7月16日(日本時間)、アメリカの通信会社Viasatという会社からキオクシアへの訴えを認め、約2億2900万ドル(約370億円)の賠償金を払うよう評決を出しました。
特許侵害とは、ある会社が持っている発明の権利を、許可なく別の会社が使ってしまうことです。
370億円という金額自体は、キオクシアの年間の利益(約8700億円)と比べると約4%程度なので、会社が傾くほどの金額ではありません。でも、「想定外の費用が発生した」という事実と、「まだ他にも同じような訴訟が起きるかもしれない」という不安が投資家の心理を冷やしました。
理由③ SKハイニックスの業績発表で「先行きへの不安」が広がった
さらに前日(7月16日)に、同じ半導体メモリー大手のSKハイニックスが決算を発表しました。
売上や利益は好調でしたが、「来期(次の3ヶ月)の利益の伸びが市場の予想より控えめになりそう」という見通しが示されました。
「好調なのにそんなに伸びない?もしかしてメモリー市場、そろそろ天井かも?」という懸念が、キオクシアを含む半導体メモリー株全体に売りを広げました。
カブサーで学んできた「好材料出尽くし」に近い現象です。今回は「悪い材料ではないけど、期待ほど良くなかった」という失望が、大きな売りにつながりました。

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3つの理由が重なったことで「雪崩」が起きた
今回の暴落は、1つの理由だけで起きたのではありません。
- 中国CXMT IPO観測(メモリーが余るかも?)
- 特許裁判で370億円の賠償(想定外の費用)
- SKハイニックスの業績見通しが控えめ(先行きへの不安)
3つが重なって「とにかく売ろう」という動きが加速
→連想売りが広がり、日経平均全体が大暴落
一つひとつは致命的ではなくても、重なると「雪崩(なだれ)」のように売りが膨らむ——これが今日起きたことです。
「暴落」と「倒産」は全然違う
ここで大切な話をします。
キオクシアの株価が半値以下になった、というと「もう終わりなの?」と思う人もいるかもしれません。
でも株価が下がることと、会社が倒産することは全く違います。
キオクシアの最新の決算では、売上高が前の年より37%増、営業利益(えいぎょうりえき)は前の年より92%増と、絶好調な業績が続いています。今回の暴落は「業績が悪い」からではなく、「将来への不安が広がった」ことによる心理的な売りが主な原因です。
実際、次の決算発表は7月31日に予定されています。そこで引き続き好業績が確認されれば、株価が回復に向かう可能性もあります。
暴落の中「勝ち組」はサイゼリヤの+12%
面白いのは、今回の暴落の中でも上がった会社があることです。
東証プライム市場で値上がり率トップになったのは、なんとサイゼリヤ(+12%)でした。昨日ストップ高になったサイゼリヤが、今日も続伸です。
暴落の中でサイゼリヤが上がった理由は、「半導体とは全く関係のない安定したビジネスをしている」からです。
投資家が不安になると「安心できる会社」にお金を移します。これが、「ディフェンシブ(守りが強い)な会社が評価される」という現象です。
今日学んだ言葉のまとめ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| ストップ安 | 株価が1日の下限いっぱいまで下がること |
| 特許侵害 | ある会社が持つ発明の権利を、許可なく別の会社が使うこと |
| 賠償金 | 裁判などで「相手に損害を与えた」と認められたときに払うお金 |
| 連想売り | 一つの悪いニュースをきっかけに、関係する株が次々と売られる現象 |
| 営業利益 | 本業で稼いだ利益のこと。会社の実力を見る基本の指標 |
「日経平均が4000円も下がった!」というニュースを見て、「大変だ!」と焦るのではなく、「なぜ下がったのか?本当に会社の実力が落ちたのか?それとも一時的な心理的な動きか?」を考えられるようになること。それが投資家として成長することです。
次の注目は、7月31日のキオクシアの決算発表。そこで引き続き好業績が出たとき、株価がどう動くかを一緒にチェックしましょう!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
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