2026年2月28日、アメリカとイスラエルがイランを攻撃し、中東情勢が一気に緊迫しました。イランがホルムズ海峡を実質的に封鎖したことで、原油やナフサ(石油から作られる化学製品の原料)が日本に入りにくくなり、さまざまな商品が値上がりしていったというニュースが、この半年間、繰り返し話題になってきました。
2026年8月28日、この軍事衝突からちょうど半年が経過しました。
日本経済新聞が、鋼材・石油化学製品・非鉄金属・木材など、主な産業資材(会社がモノを作るために使う材料)の値段を、2月末から半年間かけて調べたところ、こんな結果が出ました。
- 石油化学製品
→約4割の値上がり - ステンレス・木材
→5%前後の値上がりにとどまる
同じ「中東情勢の悪化」が原因のはずなのに、値上がりの大きさには、これだけの差が出ていたのです。
「なんで、こんなに差がついたの?」
今日はこの「なんで?」を一緒に読み解きながら、半年間の出来事を振り返っていきましょう!

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おさらい!半年前、何が起きたのか
まず、この半年間の出来事を簡単に振り返りましょう。
- 2月28日
アメリカとイスラエルがイランを攻撃 - その後
イランがホルムズ海峡を実質的に封鎖する対抗措置 - 4月8日
米国とイランが2週間の停戦に合意(その後も緊張は断続的に続く) - 6月18日
米国とイランが戦争終結とホルムズ海峡再開に向けた覚書を交わす - 7月
合意が安定せず、双方の攻撃が再燃
半年たった今も、情勢は完全には落ち着いておらず、ホルムズ海峡の実質封鎖が長引いているというのが現状です。
なぜ「石油化学製品」だけ、こんなに値上がりしたの?
まず、一番値上がりが大きかった石油化学製品から見ていきましょう。
石油化学製品は、ナフサという原料から作られています。ナフサは、原油を精製する過程で作られる、プラスチックなどの原料です。
日本は、ナフサの多くを中東からの原油に依存していました。ホルムズ海峡が封鎖されると、この原料がまとまって入ってこなくなるため、価格が急騰しやすい構造になっていたのです。
プラスチック製品・容器・繊維など、幅広い製品の原料になっているナフサが不足すると、その影響は連鎖的に広がっていきます。これが、石油化学製品の値上がり幅がとりわけ大きくなった理由です。
この値上がり、私たちの生活にはどう関係する?
ここで一つ、大切な視点を紹介します。
石油化学製品は、会社と会社の間で取引される「原材料」の一種です。こうした会社同士の取引のことを「川上(かわかみ)」の部分と呼ぶことがあります。
でも、この石油化学製品は、そのまま消費者のもとに届くわけではありません。プラスチック容器・家電製品の部品・自動車のバンパーなど、私たちが実際にお店で目にする「最終的な商品」に加工されてから、はじめて店頭に並びます。この、消費者に近い部分を「川下(かわしも)」と呼びます。
つまり、今回のように川上の原材料が4割も値上がりすると、その負担は数ヶ月かけて川下、つまり私たちが実際にお店で買う商品の値段にも、じわじわと波及していく可能性があるのです。「企業同士の取引価格が上がった」というニュースは、少し先の「消費者向けの値上げ」を予告する、一つのサインとも言えます。
なぜ「ステンレス・木材」は、比較的落ち着いていたの?
一方で、ステンレスや木材は、5%前後の値上がりにとどまりました。なぜでしょうか?
理由は、原料の中東依存度が、石油化学製品ほど高くなかったからです。
木材は、そもそも中東からの輸入に頼っている割合が低い商品です。ステンレスの原料となる金属も、中東以外の国からも幅広く調達されています。
つまり、「中東に頼っている度合いが高いものほど、大きく値上がりし、頼っている度合いが低いものは、比較的値上がりが小さく済んだ」という、非常にシンプルな関係が、今回のデータからはっきりと見えてきます。
半年間で、日本は「脱・中東依存」をどれだけ進められたのか
半年間、日本は中東への依存を減らすために、さまざまな取り組みを進めてきました。
- アメリカや中南米、中央アジア、アフリカなど、中東以外からの原油調達を拡大
- 国家備蓄原油の放出
- 米国からの原油輸出が急拡大し、2026年6月には、日本がアメリカ産原油の輸出先として最大になったという報告も
特にナフサについては、中東依存度が、当初のほぼ全量近い水準から、直近ではおよそ1割程度まで下がったという分析もあります。半年前には「原油・ナフサのほとんどを中東に頼っている」という状態でしたが、代替調達を急いで進めたことで、依存度そのものは大きく下がってきているのです。
ただし、代替調達には限界もあります。アメリカからの原油輸入が急増した背景には、アメリカの国家備蓄の取り崩しに頼っている部分も大きいとされ、この状態がいつまでも続けられるとは限らない、という指摘もあります。
投資家目線で、この半年をどう捉えるか
今回のデータから、投資家として学べるポイントを整理しましょう。
①「中東情勢」と一括りにせず、業種ごとの依存度を見る
「中東情勢が悪化した」というニュースが出たとき、すべての会社が同じように影響を受けるわけではありません。原料をどれだけ中東に依存しているかによって、値上がり幅にはっきりと差が出ることが、今回のデータで裏付けられました。
化学製品を扱う会社の株を見るときと、木材や金属を扱う会社の株を見るときとでは、中東情勢への感応度が違う、ということです。
②「半年」という時間軸で、変化を振り返る
日々のニュースを追いかけるだけでなく、時々立ち止まって「半年前と比べてどう変わったか」を振り返ることも大切です。今回のように、代替調達が進んで依存度が下がってきているという変化は、日々のニュースだけを追っていると見過ごしてしまいがちです。
③ リスクが完全になくなったわけではないことも忘れない
依存度が下がってきたとはいえ、ホルムズ海峡の実質封鎖そのものは、半年たった今も解消されていません。石油化学製品の価格も高止まりが続いています。「改善に向かっている」ことと、「リスクがなくなった」ことは、別の話です。
今日学んだ言葉のまとめ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 産業資材 | 会社がモノを作るために使う、鋼材・化学製品・木材などの材料 |
| 川上・川下 | 川上は原材料に近い会社間の取引、川下は消費者に近い最終商品のこと |
| 中東依存度 | 原料や資源のうち、中東からの輸入がどれくらいの割合を占めているか |
| 代替調達 | これまでとは違う国や地域から、同じ原料・資源を調達すること |
| 高止まり | 値段が高い水準のまま、あまり下がらずに続いている状態 |
半年前に起きた一つの出来事が、業種によって全く違う影響の大きさを生み出し、そして半年かけて、日本はその依存度を少しずつ変えてきました。
ニュースを「その日その日」だけで追うのではなく、「半年前と比べてどう変わったか」という長い時間軸で振り返ることも、投資家にとって大切な習慣です。次に大きな出来事が起きたとき、半年後にはどんな変化が起きているか、ぜひ気にかけてみてください!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
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