2026年7月30日、こんなニュースがありました。
半導体検査装置を作る「アドバンテスト」の株価が、一時16%以上も急上昇。
そしてこの1社の値上がりが、日経平均株価全体を押し上げるという展開になりました。
「え、1つの会社の株価が上がっただけで、日経平均がそんなに動くの?」
今日はこの「なんで?」を一緒に考えながら、日経平均という仕組みの意外な秘密を学んでいきましょう!

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アドバンテストってどんな会社?
アドバンテスト(証券コード:6857)は、半導体テストシステムを作る会社です。
半導体は作った後、「ちゃんと正しく動くかどうか」を必ず検査しなければいけません。この検査をするための機械を作っているのがアドバンテストです。
カブサーの半導体記事でも紹介しましたが、AI向けの高性能な半導体(チップ)を作るときにも、この検査装置がたくさん必要になります。AIブームが続く中で、アドバンテストへの注文がどんどん増えているのです。
7月29日、驚きの上方修正が発表された
7月29日の取引終了後、アドバンテストはこんな発表をしました。
- 2027年3月期の連結純利益(じゅんりえき)予想
前の年より76%増の6,600億円 - 連結営業利益予想
前の年より69%増の8,460億円
しかも、この数字はもう一段上に直されたものでした。実はアドバンテストは少し前にも一度予想を発表していて、その予想を今回さらに42%も上方修正したのです。
証券会社が事前に予想していた平均的な見込み(コンセンサス)は6,911億円ほどでしたが、実際の発表はそれをさらに上回る内容でした。「予想以上の予想」だったということです。
理由は、生成AI向けの半導体需要が想像以上に伸び続けていることです。
「値がさ株(ねがさかぶ)」ってどういうこと?
さて、ここからが今日のメインです。
アドバンテストの株価が上がったことで、なぜ日経平均全体まで押し上げられたのでしょうか?
理由は、日経平均の計算の仕組みにあります。
日経平均株価は、日本を代表する225社の株価をもとに計算されている指数です。でも、この225社の株価は、同じ重みで平均されているわけではありません。
株価が高い会社ほど、日経平均全体への影響力が大きくなる。これが日経平均の計算方法の特徴です。
こういう「1株あたりの値段がとても高い会社」のことを「値がさ株」と呼びます。
たとえるなら、こんなイメージです。
クラス全員の「お小遣いの平均額」を計算するとします。もし1人だけ、ものすごく大きな金額のお小遣いをもらっている子がいたら、その子の金額が少し変わるだけで、クラス全体の平均額も大きく動いてしまいますよね。
日経平均も同じです。株価がとても高い「値がさ株」が動くと、それだけで日経平均全体が大きく動いてしまうのです。
アドバンテストの株価は今回、1株2万9425円まで上がりました。これは日経平均に採用されている会社の中でも、特に株価が高いグループに入ります。だからこそ、この1社の値動きが指数全体に大きな影響を与えたのです。

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「連想買い」も同時に起きていた
アドバンテストの好決算は、もう一つの効果も生みました。
海外の短期的な売買をする投資家(海外短期筋)が、アドバンテストの上昇をきっかけに、日経平均先物や他のAI・半導体関連株にも買いを広げたのです。
東京エレクトロン・イビデン・キオクシア・村田製作所などにも買いが入りました。
「1社の好決算→その会社の株が上がる→関連する会社にも期待が広がる→買いが連鎖する」という「連想買い」の流れです。
でも上値は重かった!向かい風もあった
7月30日の相場は、実は単純な「大喜びの上昇」ではありませんでした。
前日(7月29日)のアメリカの株式市場では、NYダウが1,153ドルも大幅下落していました。理由は、中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇と、アメリカの金融政策への不透明感です。
カブサーのホルムズ海峡記事で学んだ中東の話が、ここでもまた登場しています。世界のどこかで起きていることが、巡り巡って日本の株式市場にも影響してくるのです。
今日の日経平均は、朝は前日の米国株安を受けて少し下がって始まりましたが、アドバンテストの好決算に支えられてすぐに切り返し、前場中盤には一時1,500円近く上昇する場面もありました。しかしその後は上げ幅を縮めて、後場は方向感の出ない展開が続きました。
結果として、終値は前日比433円高の61,867円、3日ぶりの反発となりました。「アドバンテストという追い風」と「中東情勢・米国株安という向かい風」が綱引きをして、最終的には小幅な反発にとどまった、という一日でした。
「上方修正ラッシュ」も同時に起きていた
面白いことに、7月29日の決算発表ラッシュでは、アドバンテスト以外にもたくさんの会社が良い決算を発表していました。
- 日立製作所
純利益予想を6%上方修正、データセンター需要が背景 - 第一工業製薬
経常利益を52%上方修正 - 栗田工業
減益予想から一転、43%の増益に修正
カブサーのブロンコビリー記事で学んだ「上方修正」が、この日は業種を超えてたくさん起きていたのです。
投資家が気をつけるポイント「1Qでも据え置きは危険信号」
ここで、専門家が指摘している大切な注意点も紹介します。
日経ヴェリタスというメディアが「アドバンテストなど相次ぐ上方修正 1Qでも据え置きは危険信号」という分析を出しています。
「1Q」とは第1四半期(4〜6月の3ヶ月間)のことです。この時期にすでに好調な数字が出ているのに、もし会社が「通期の予想は変えません」と据え置いた場合、それは実は「危険信号」かもしれない、という指摘です。
なぜでしょうか?会社が「今は好調だけど、この先はどうなるか分からない」と慎重になっている可能性があるからです。
逆に言えば、今回のアドバンテストのように、1Q決算のタイミングでしっかり上方修正をしてきた会社は、「自信を持って今後の見通しを話せる」というポジティブなサインだと受け取ることができます。
今日学んだ言葉のまとめ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 値がさ株 | 1株あたりの株価が高く、日経平均への影響力が大きい銘柄 |
| 上方修正 | 一度発表した業績予想を、上に直すこと |
| コンセンサス | 証券会社などが事前に予想していた業績の平均的な見込み |
| 連想買い | 一つの好材料をきっかけに、関連する会社の株も買われること |
「1社の決算が、指数全体を動かす」
これは日経平均の仕組みを知らないと分からない、投資の面白い一面です。
次に「日経平均が大きく動いた」というニュースを見たとき、「これはどの会社が引っ張っているんだろう?」と考えてみてください。指数の裏側にある、一社一社のドラマが見えてくるはずです!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
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