みなさんは、お年玉を銀行に預けたり、家族が保険に入っていたり、お父さんやお母さんが証券会社で株を買ったりしているのを、見たことはありませんか?
お金を預ける、貸す、送る、守る、増やす。こうした「お金にまつわる仕事」をしている会社の集まりを、金融業界(きんゆうぎょうかい)と呼びます。
今日は【業界研究編】第4回として、金融業界の全体像を整理していきましょう。

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金融業界は「お金の橋渡し役」
世の中には、こんな2種類の人や会社がいます。
- お金に余裕があって、預けたり増やしたりしたい人
- お金が足りなくて、借りたい人や会社
たとえば、新しい工場を建てたい会社は、たくさんのお金が必要です。でも、自分たちだけでは足りないことがあります。一方で、使わずに置いてあるお金を持っている人もたくさんいます。
この2つをつないで、お金がうまく世の中を巡るようにするのが、金融業界の大きな役割です。
お金は、人の体でいう血液のようなものです。体のすみずみまで血液が届くから元気でいられるように、経済もお金がスムーズに巡ることで元気に動きます。金融業界は、そのお金の流れを支える存在です。
金融業界の3つの柱
金融業界は、大きく分けると次の3つの仕事で成り立っています。
- 銀行
お金を預かって、貸す・送る - 証券
株などの売り買いを手伝う - 保険
もしものときに備えて、みんなでお金を出し合う
一つずつ見ていきましょう。
① 銀行は…お金を預かって、貸す・送る
銀行には、昔から続く3つの基本的な仕事があります。
- 預金(よきん)
みんなからお金を預かる - 貸出(かしだし)
お金を必要としている人や会社に貸す - 為替(かわせ)
お金を別の人へ送る(振り込みなど)
この中で、銀行がお金を稼ぐ大きな柱になるのが「貸出」です。お金を貸すと、借りた人や会社から利息(りそく)を受け取ることができます。
ここで大切なのが利ざや(りざや)という考え方です。
銀行は、預金してくれた人にも利息を払います。そして、お金を借りた人からは、それより高い利息を受け取ります。この2つの利息の差が、銀行の儲けの元になります。
たとえば、あくまでイメージ用の数字ですが、こんな感じです。
預金してくれた人に払う利息が1%
お金を借りた会社から受け取る利息が2%
差の1%が、銀行の儲けのもと(利ざや)
日本には、三菱UFJ、三井住友、みずほという、特に規模の大きい3つの銀行グループがあり、まとめて「メガバンク」と呼ばれています。これらは「フィナンシャルグループ」という形で、銀行のほかに、信託銀行、証券会社、カード会社など、いろいろな金融の会社をグループ内に持っています。
② 証券は…株などの売り買いを手伝う
証券会社は、株や債券などを売り買いしたい人と、その取引の場をつなぐ会社です。
主な仕事は、大きく2つあります。
- 株の売買の取り次ぎ
株を買いたい人が、証券会社を通して注文を出すと、株式市場で取引が行われます。この取り次ぎのお手伝いをして、手数料を受け取るのが、基本的な仕事です。 - 会社が新しく株を発行するときのお手伝い
会社が新しく株式市場に上場するとき(IPO)や、資金を集めるために株や債券を発行するとき、その手続きや、買ってくれる投資家探しをサポートします。
日本の大手には、野村ホールディングスや大和証券グループ本社などがあります。また、インターネットで取引できる「ネット証券」も、身近な存在になっています。
③ 保険は…もしものときに備えて、みんなでお金を出し合う
保険会社は、病気、けが、事故、火事など、「もしものこと」が起きたときの経済的な負担を、みんなで支え合うための仕組みを運営しています。
仕組みはとてもシンプルです。
たくさんの人が、少しずつ保険料を払う
その集まったお金の中から、
実際に困ったことが起きた人に、保険金を支払う
もし何かが起きたとき、1人だけで大きな費用をまかなうのは大変です。でも、たくさんの人で少しずつ出し合っておけば、実際に困った人を助けられます。
保険には、大きく分けて2つのタイプがあります。
- 生命保険
人の病気や死亡など、「人の命や健康」にまつわるもしもに備える保険。第一生命ホールディングスなどが代表的です。 - 損害保険
火災、自動車事故、自然災害など、「モノや財産の損害」に備える保険。東京海上ホールディングスなどが代表的です。
保険会社は、集めた保険料をすぐに全部支払いに使うわけではなく、一部を株や債券などで運用して、収益を得ています。
「間接金融」と「直接金融」という考え方
金融業界を理解するときに、もう一つ大切なのが、お金の流れ方の違いです。
間接金融(かんせつきんゆう)
銀行が間に入る方法です。
預金する人 → 銀行 → お金を借りる会社
お金を預けた人と、お金を借りた会社は、直接やり取りをしません。銀行が間に入って、預かったお金を貸し出します。
直接金融(ちょくせつきんゆう)
株や債券を通じて、直接お金を出す方法です。
投資家 → (株や債券を買う)→ 会社
会社が株や債券を発行して、投資家が直接それを買うことで、お金が会社に届きます。証券会社は、このやり取りを手伝う役割を担います。
銀行を通す方法(間接金融)と、株や債券を通す方法(直接金融)は、どちらも会社がお金を集めるための方法で、金融業界の中で、それぞれ違う会社が役割を担っているのです。
金融業界の会社を、役割ごとに整理しよう
| 分野 | 主な仕事 | 会社の例 | たとえるなら |
|---|---|---|---|
| 銀行 | 預金・貸出・為替 | 三菱UFJ、三井住友、みずほ | お金を運ぶ水道管 |
| 証券 | 株や債券の売買の取り次ぎ、発行のお手伝い | 野村ホールディングス、大和証券グループ本社 | お金と会社が出会う市場の案内人 |
| 保険 | もしものときの備え | 第一生命ホールディングス、東京海上ホールディングス | みんなで貯める安心のお財布 |
投資家目線で見ると、どんな意味があるの?
金融業界の会社は、それぞれ、業績に影響しやすい要因が違います。
銀行は、お金を貸して利息を受け取る仕事なので、世の中の金利の水準が、業績に影響しやすいと言われています。
証券会社は、株の売買の手数料が収入の柱の一つなので、株式市場がどれくらい活発に取引されているかが、業績に影響しやすくなります。
保険会社は、集めた保険料を運用して収益を得ているので、運用環境の影響を受けます。また損害保険は、大きな自然災害が起きると、支払う保険金が増えることがあります。
同じ「金融業界」としてひとくくりに見られがちですが、実際には、どの分野の会社なのかによって、ニュースの影響の受け方が違います。「金利が動いた」「株式市場が盛り上がった」「大きな災害があった」といったニュースを見たときに、「金融の中で、どの分野に影響しそうか」と考えてみると、ニュースの理解がぐっと深まります。
今日学んだことを整理しよう
- 銀行:預金・貸出・為替
→ 利ざや(貸すときの利息と預かるときの利息の差)が儲けのもと - 証券:株などの売買の取り次ぎ、発行のお手伝い
- 保険:みんなで少しずつお金を出し合い、もしものときに備える
- 間接金融:銀行が間に入る
- 直接金融:株や債券を通じて、直接お金を出す
今日学んだ言葉のまとめ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 金融 | お金を、必要な人のところへ巡らせる仕組み |
| 利息 | お金を貸したり預けたりしたときに、上乗せして支払われるお金 |
| 利ざや | 銀行が預金者に払う利息と、貸出で受け取る利息の差 |
| メガバンク | 三菱UFJ、三井住友、みずほなど、規模の大きい銀行グループ |
| 間接金融 | 銀行などが間に入って、お金を預ける人と借りる人をつなぐ方法 |
| 直接金融 | 株や債券を通じて、投資家が会社に直接お金を出す方法 |
「銀行」「証券」「保険」と、名前は似ていても、それぞれ全く違う役割を担っているのが金融業界です。
次に金融に関するニュースを見たとき、「これは銀行の話か、証券の話か、それとも保険の話か」を考えてみてください。お金がどう巡っているのかという、経済の大きな仕組みが見えてきますよ。
【業界研究編】シリーズ、次回もお楽しみに!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
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