2026年7月13日、冷凍食品でおなじみのニチレイという会社に、大変なことが起きました。
何者かによる「サイバー攻撃」を受けて、システムが止まってしまったのです。
「サイバー攻撃って何?」「なんでケンタッキーやくら寿司にまで影響が出るの?」
今日はこの事件を通じて、「見えないところで会社同士がどうつながっているか」を一緒に学んでいきましょう!

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ニチレイってどんな会社?
ニチレイ(証券コード:2871)は、冷凍食品を作る「ニチレイフーズ」と、冷蔵倉庫を運営する「ニチレイロジグループ」を中心にした会社です。
みなさんの家の冷凍庫にある「本格炒め炒飯」などの冷凍食品を作っているほか、実はもっと大きな役割を持っています。
それが、「冷蔵倉庫(れいぞうそうこ)」というビジネスです。
冷蔵倉庫とは、食品が腐らないように低い温度で保管しておく巨大な倉庫のことです。ニチレイは国内最大級の冷蔵倉庫網を持っていて、いろんな会社の冷凍・冷蔵食品を預かり、注文が来たら出荷する、という「食品の物流(ぶつりゅう)」を支える会社なのです。
物流とは、モノを作った場所から必要な場所まで届ける仕組み全体のことです。
サイバー攻撃で何が起きたの?
2026年7月13日の朝、ニチレイの社内システムに障害(不具合)が発生しました。調査の結果、これは「サイバー攻撃」という、インターネットを通じて悪意のある人がシステムに不正に侵入した攻撃だったことが分かりました。
ニチレイはすぐに緊急対策本部を立ち上げ、被害が広がらないようにシステムを止める対応を取りました。この結果、こんな業務が止まってしまいました。
- 冷蔵倉庫への商品の入出庫業務
- 冷凍食品の工場からの出荷業務
「システムを守るために、あえて業務を止める」というのは、火事のときに延焼を防ぐために一部を切り離すのと似ています。被害をこれ以上広げないための、いわば緊急ブレーキです。
なぜケンタッキーやくら寿司にまで影響が出たの?
ここが今日の一番大切なポイントです。
ニチレイの冷蔵倉庫には、ニチレイ自身の商品だけでなく、いろんな会社の食品も預けられています。
ニチレイのシステムが止まると、預けられていた商品を出荷できなくなります。すると、その商品を受け取るはずだった会社にも影響が広がっていきます。
実際に影響が出たと報じられた会社には、こんなところがあります。
- KFC(ケンタッキーフライドチキン)
国内全店舗への食材納品に影響。一部店舗で商品の欠品や営業時間の短縮が発生 - イオン
一部の食品供給に影響 - くら寿司
一部の食材供給に影響
「なんで冷凍食品の会社の問題が、フライドチキンやお寿司のお店にまで広がるの?」と思いますよね。
これがカブサーで何度も学んできた「サプライチェーン(供給の連鎖)」の話です。
アップル記事でも学びましたね。一つの会社に何かが起きると、その会社とつながっているたくさんの会社に影響が広がっていく。これがサプライチェーンの怖さです。
ケンタッキーもくら寿司も、自分たちの会社が直接攻撃を受けたわけではありません。でも「食材を運んでもらう仕組み(物流)」が止まったことで、間接的に大きな影響を受けたのです。

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投資家はこのニュースをどう見たの?
さて、ここからが投資家目線の話です。
事件が発表された直後、ニチレイの株価は下落しました。「業務が止まった=売上が減るかもしれない」という不安から、売る投資家が増えたのです。
でも、その後の動きが面白いのです。
7月16日にニチレイが「17日から業務を順次再開する」と発表すると、株価は大幅に反発しました。
なぜ反発したのでしょうか?理由は3つあります。
理由①「思ったより早く復旧した」という安心感
もっと長く業務が止まると心配していた投資家にとって、「4日で再開の目処が立った」というのはポジティブなニュースでした。
理由② 決算発表は予定通り行われる
ニチレイは「8月7日に予定している決算発表は、当初通り実施する」と明言しました。これは「隠すことなく、きちんと情報を公開します」という姿勢を示すもので、投資家からの信頼につながります。カブサーの第一三共の決算延期記事で学んだ「不透明感が一番怖い」という話を思い出してください。今回は逆に「予定通り発表する」と明言したことが、不安を和らげました。
理由③ アナリストの見方が「短期的な影響にとどまる」
証券会社のアナリストたちは、今回の被害について「短期的なものにとどまる」という見方を示しています。目標株価は2200円とされ、テクニカル分析(値動きのパターンを分析すること)では「強い買い」のサインが出ているという報道もあります。
「情報を盗まれたかもしれない」という別の問題
ここで、もう一つ重要な事実があります。
7月22日、「ランサムハウス」と名乗るハッカー集団が、インターネットのダークウェブ(特別な方法でしかアクセスできない、匿名性の高いインターネット空間)上に「ニチレイを攻撃した」という犯行声明を出していたことが、セキュリティー関係者への取材で判明しました。
ランサムウェアとは、コンピューターの中のデータを勝手に暗号化(読めない状態に)して、「元に戻してほしければお金を払え」と要求する悪質なプログラムのことです。
この犯行声明では「財務や顧客に関する内部データを盗んだ」とも主張されています。ただし、これは攻撃者側が一方的に主張しているだけで、本当にデータが盗まれたのか、その集団が実際に関わっているのかは、まだ確定していません。ニチレイ側も個人情報が漏れた可能性について、現在も調査を続けています。
投資家にとって、この「情報漏洩(じょうほうろうえい)の可能性」は、業務停止よりも長く尾を引く可能性があるリスクとして注目されています。
サイバー攻撃という「新しいリスク」
これまでカブサーでは、業績・為替・金利・地政学リスクなど、いろいろな「会社に影響する出来事」を学んできました。
今回の話で分かるのは、現代の会社には「サイバー攻撃」という、また別の種類のリスクがあるということです。
サイバー攻撃が怖いのは、次のような特徴があるからです。
- いつ起きるか予測できない(地震のようなもの)
- 1社だけでなく、つながっている会社全体に影響が広がる(サプライチェーンのリスク)
- 「本当に情報が盗まれたのか」がすぐには分からない(不透明感が長く続く)
投資家は、会社の業績だけでなく、「その会社はサイバー攻撃への備えがしっかりしているか」も、これからますます重要な判断ポイントにしていくと考えられます。
今日学んだ言葉のまとめ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| サイバー攻撃 | インターネットを通じて、悪意のある人がシステムに不正に侵入すること |
| ランサムウェア | データを勝手に暗号化して「元に戻してほしければお金を払え」と要求する悪質なプログラム |
| サプライチェーン | 原料から消費者までモノが届く、会社同士のつながり全体 |
| 物流 | モノを作った場所から必要な場所まで届ける仕組み |
| 情報漏洩 | 個人情報や会社の重要なデータが、外部に流出してしまうこと |
冷凍食品の会社の問題が、フライドチキン屋さんやお寿司屋さんにまで広がった今回の事件。
「この会社とあの会社、どうつながっているんだろう?」と考える視点は、投資家として世界を見るための大切な力になります。
次に冷凍食品を買うとき、パッケージの裏側にどんな会社の名前が書かれているか、ちょっと見てみてください!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
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