2026年9月、世界の金融の中心で、大きな出来事が重なりました。
9月15〜16日、アメリカのFRB(連邦準備理事会)が政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%に。
9月17〜18日、日本の日銀が政策金利を1.00%から1.25%に引き上げ。
日本とアメリカ、2つの国の中央銀行が、ほぼ同じ週に、そろって利上げに踏み切ったのです。
カブサーの長期金利3%到達記事・FRB発言記事の完璧な続報ですが、今回は面白いことに、日本とアメリカで、株式市場の反応が正反対でした。
「同じ利上げなのに、なぜ反応が違うの?」
今日はこの「なんで?」を一緒に読み解いていきましょう!

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まず、それぞれの利上げを振り返ろう
日銀:31年ぶりの高い水準に
日銀の利上げは、1.00%から1.25%へ。これは1995年以来、31年ぶりの高さです。
カブサーの長期金利3%到達記事で、「3%は通過点」という専門家の見方を紹介しましたね。あのとき学んだ「金利のある世界」への転換が、また一歩進んだ形です。
今回の利上げは、6月会合以来3か月ぶりの追加利上げで、2024年3月に始まった利上げ局面の中でも、最も短い間隔での利上げになりました。
FRB:3年2か月ぶりの利上げ
一方、アメリカのFRBの利上げは、3.75〜4.00%へ。これは2023年7月以来、3年2か月ぶりの利上げです。
採決は12対0の全会一致でした。
「利上げ」自体は、両方とも予想されていた
ここが今日の最初のポイントです。
実は、日本もアメリカも、今回の利上げは事前に市場でほぼ予想されていました。
カブサーで学んだ通り、「すでに予想されていたニュース」は、発表された瞬間の株価にはあまり大きく反映されません。これは「好材料出尽くし」と似た考え方です。良くも悪くも、「予想通り」のニュースは、それだけでは株価を大きく動かす力を持ちにくいのです。
でも、アメリカの株式市場は大きく下落した
利上げ自体は予想通りだったのに、アメリカの株式市場では、こんな反応がありました。
ダウ工業株30種平均が631ドル安。米10年国債利回りは再び5%台まで上昇。
なぜでしょうか?
理由は、利上げの中身よりも、FRBのウォーシュ議長が会見で示した「発言のトーン」にありました。
ウォーシュ議長は、「インフレは高すぎ、長すぎた」「金融環境を引き締め的と呼ぶのは難しい」と述べました。さらに、FRBが今後の金利見通しを示す「ドットチャート」でも、2026年末の政策金利の見通しが3.8%から4.1%へ引き上げられ、年内にあと1回の利上げがあることを示唆しました。
つまり市場はこう受け止めたのです。
「今回の利上げで終わりではなく、まだ利上げが続きそうだ」
カブサーのFRB発言記事(ウォラー理事のハト派発言で株高になった話)を覚えていますか?あのときは「利上げは急がない」という発言で株価が上がりました。今回はその真逆、「まだ引き締めが必要だ」という発言(タカ派な発言)によって、株価が下がったのです。
「ハト派」と「タカ派」という言葉
ここで、投資の世界でよく使われる言葉を2つ紹介します。
- ハト派
景気を支えるため、金利を上げることに慎重な考え方。ハトの穏やかなイメージから。 - タカ派
物価の上昇(インフレ)を抑えるため、積極的に金利を上げるべきだという考え方。タカの鋭いイメージから。
カブサーのFRB発言記事に登場したウォラー理事は、比較的ハト派な発言をしていました。今回のウォーシュ議長は、タカ派な発言をしたことになります。
同じFRBという組織の中でも、発言する人や、そのときの物価の状況によって、トーンが変わることがある。
これが、投資家にとって覚えておきたいポイントです。
一方、日本の反応は比較的落ち着いていた
日銀の利上げに対しては、アメリカほど大きな株価の反応は見られませんでした。
理由の一つは、すでに市場で強く織り込まれていたことです。ドル円相場も、利上げ決定の前から155円台で推移しており、「決まったこと」による新しい驚きが少なかったと考えられます。
野村證券の分析では、今回の利上げの後、次の利上げは12月がメインシナリオとされつつも、状況によっては10月にも利上げがあり得るという、リスクシナリオも示されています。
なぜ日米は「そろって」利上げをしたのか
最後に、大きな視点で今回の出来事を整理しましょう。
日本もアメリカも、共通して物価の上昇(インフレ)への警戒を強めています。
中東情勢による原油高、各国の財政への懸念、AI企業の巨額投資など、複数の要因が重なって、世界中でインフレへの警戒が強まっているのです。
日本とアメリカという、世界経済の中心にある2つの国が、同じタイミングで「物価を抑えるために金利を上げよう」と判断したことは、世界的なインフレ懸念が、それだけ根強いことを示しているとも言えます。
投資家として、今日から学べること
①「利上げそのもの」より「その後の見通し」に注目する
利上げが予想通りでも、その後の金融政策がどうなりそうかという「見通し」(ドットチャートなど)によって、市場の反応は大きく変わります。
② 発言する人の「トーン」(ハト派・タカ派)を意識する
同じ組織の中でも、発言する人によって受け止められ方が変わります。「誰が、どんなトーンで話したか」を確認する習慣が役立ちます。
③ 複数の国の動きを、あわせて見る
日本だけ、アメリカだけを見るのではなく、「世界的に同じ方向に向かっているのか」を確認することで、その動きの根深さを推し量ることができます。
今日学んだ言葉のまとめ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 政策金利 | 中央銀行が決める、経済全体に影響する基準の金利 |
| ハト派 | 金利を上げることに慎重な考え方 |
| タカ派 | インフレを抑えるため、積極的に金利を上げるべきだという考え方 |
| ドットチャート | FRBの関係者が示す、将来の政策金利の見通しを表した図 |
「日米がそろって利上げ」という同じ出来事でも、発言のトーンや、市場がすでに織り込んでいたかどうかによって、株価の反応は大きく変わります。
次に中央銀行のニュースを見たとき、「利上げしたかどうか」だけでなく、「その会見で、どんなトーンの発言があったか」まで確認してみてください。市場の本当の反応の理由が、より深く見えてきますよ!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
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