【基礎編⑦】株は「高いか安いか」どう判断するの?PERとPBRという2つのモノサシ

【基礎編①〜⑥】で、株とは何か、株価はどう決まるか、株の買い方、決算書の読み方、ローソク足の見方、配当と株主優待について学んできました。

今日は、投資家がとてもよく使う疑問に答えていきます。

「この株、今の値段は高いの?それとも安いの?」

株価は、ただの数字を見ているだけでは、高いのか安いのか判断できません。1,000円の株と10,000円の株、どちらが「お得」かは、値段だけでは分からないのです。

そこで登場するのが、PER(ピーイーアール)PBR(ピービーアール)という2つのモノサシです。今日はこの2つを、じっくり学んでいきましょう!

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なぜ「株価そのもの」では、高い安いが分からないの?

こんな例で考えてみましょう。

A社の株価は500円、B社の株価は5,000円です。「B社の方が10倍高いから、A社の方がお得だ」と思いますか?

実はこれ、単純には言えません。なぜなら、A社は利益が少ない小さな会社かもしれないし、B社は利益がとても大きい優良企業かもしれないからです。

会社によって、株を何株に分けて発行しているかはバラバラです。だから、「株価そのものの数字」だけを比べても、意味がないのです。

「その会社の実力(利益や資産)に対して、今の株価が見合っているかどうか」を測る必要があります。ここで使われるのが、PERとPBRです。

PERは「利益」に対して株価が何倍か

PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)とは、株価が、その会社の利益に対して何倍になっているかを示す数字です。

計算式はこうです。

PER(倍)= 株価 ÷ 1株あたりの利益(EPS)

「1株あたりの利益」とは、【基礎編④】で学んだ「純利益」を、発行されている株の数で割ったものです。

具体例で考えてみましょう。

ある会社の株価が1,000円、1株あたりの利益が50円だったとします。

PER = 1,000円 ÷ 50円 = 20倍

この「20倍」という数字は、「今の利益のペースが続くとしたら、株価の元を取るのに20年分の利益が必要」というイメージを表しています。

一般的に、この数字が大きいほど「株価は利益に対して割高」、小さいほど「株価は利益に対して割安」と判断されます。

PBRは「資産」に対して株価が何倍か

PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)とは、株価が、その会社の純資産(じゅんしさん)に対して何倍になっているかを示す数字です。

純資産とは、会社が持っている資産(お金・建物・土地など)から、借金などを差し引いた、いわば「会社が本当に持っている財産」のことです。もし今すぐ会社を解散して、資産をすべて株主に分配したら、これくらいの金額が戻ってくる、という目安にもなります。

計算式はこうです。

PBR(倍)= 株価 ÷ 1株あたりの純資産(BPS)

たとえば、株価が1,000円、1株あたりの純資産が800円だった場合、

PBR = 1,000円 ÷ 800円 = 1.25倍

PBRが1倍というのは、「株価と、1株あたりの純資産がちょうど同じ」という状態を意味します。PBRが1倍を下回っている(1倍未満)ということは、「株価が、会社が実際に持っている財産の価値よりも安く評価されている」という、一つのサインとして注目されます。

PERとPBR、それぞれ何を見ているの?

2つの指標の違いを、整理しましょう。

PERは、「これから、この会社がどれだけ稼ぎ続けられそうか」という、未来の稼ぐ力に注目した指標です。

PBRは、「今この瞬間、この会社がどれだけの財産を持っているか」という、今ある資産に注目した指標です。

PERが高いということは、「今の利益に対して、将来もっと稼いでくれるはずだ」という期待が、すでに株価に大きく織り込まれている状態とも言えます。もし期待していたほど利益が伸びなかった場合、その反動で株価が大きく下がることもあります。

株価の勢いだけを見るのではなく、「その勢いに見合うだけの利益が、実際についてきているか」を確認する一つの手がかりとして、PERは使われています。

PERとPBRが「極端」になるケース

PERやPBRの数字を見比べていると、時々「極端に高い」「極端に低い」会社に出会うことがあります。

たとえば、まだ利益が出ていない(赤字の)会社は、1株あたりの利益がマイナスになるため、通常のPERでは評価しにくくなります。それでも大きな株価がついている場合、それは「将来、大きく稼げるようになるはずだ」という期待が、PER・PBRだけでは測れない形で、株価に強く反映されていると考えられます。

逆に、しっかり利益や資産を持っているのに、PERやPBRが低いままの会社もあります。こういう会社は「実力に対して株価が控えめに評価されている株」という意味で、「バリュー株」と呼ばれることがあります。

数字だけで判断するのは危険

ここで、大切な注意点があります。

PERやPBRは、あくまで「今の株価が、利益や資産に対してどれくらいの水準か」を示す、一つの目安にすぎません。

「PERが低いから絶対にお買い得」「PBRが1倍を切っているから必ず上がる」というわけではないのです。

なぜなら、PERやPBRが低いのには、それなりの理由があることも多いからです。「この先、利益が減りそうだ」「業界全体が厳しい状況にある」といった不安から、あえて低く評価されているケースもあります。

数字だけで判断せず、「なぜこの数字になっているのか」という背景まで確認することが、投資家にとって欠かせない視点です。

今日学んだことを整理しよう

  • PER:株価 ÷ 1株あたりの利益
    → 「利益」に対して株価が高いか安いかを見る
    → 数字が大きいほど割高、小さいほど割安とされることが多い
  • PBR:株価 ÷ 1株あたりの純資産
    → 「資産」に対して株価が高いか安いかを見る
    → PBR1倍が、株価と純資産が釣り合う目安

今日学んだ言葉のまとめ

言葉意味
PER(株価収益率)株価が、1株あたりの利益の何倍かを示す指標
PBR(株価純資産倍率)株価が、1株あたりの純資産の何倍かを示す指標
1株あたりの利益(EPS)純利益を、発行されている株の数で割ったもの
純資産会社の資産から、借金などを差し引いた、実質的な財産
バリュー株実力(利益や資産)に対して、株価が割安に評価されている株

「株価が高いか安いか」は、値段の数字だけでは分かりません。PERで「利益に対して」、PBRで「資産に対して」見比べることで、その会社の株価が今、どんな水準にあるのかが、より立体的に見えてきます。

次にニュースで会社の情報を見るとき、「この会社のPERは何倍だろう?」「PBRは1倍を超えているかな?」と、ぜひ確認してみてください。株価という数字の裏側にある、もう一段深い理解につながっていきますよ。

【基礎編】シリーズ、次回もお楽しみに!


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