みなさんは今日(2026年4月24日)、こんなニュースを見ましたか?
「第一三共(だいいちさんきょう)の株価が一時10%以上急落。4年ぶりの安値に」
「第一三共」といえば、先日カブサーの記事でも取り上げた「ロキソニン・ルルをサントリーに売却した製薬会社」ですね。あのとき「がん治療薬の開発に集中するために、市販薬事業を売却した」という話をしました。
ところが今日、その第一三共の株価が大きく下落しました。しかも日経平均が最高値圏で推移しているにもかかわらず、第一三共だけが4年ぶりの安値圏に沈んだのです。
いったいなぜ?
会社が発表したのはこれです。
「予定していた4月27日の決算発表を、5月11日に延期します」
たったこれだけのお知らせで、株価が10%も下がる。ここに、投資家目線で絶対に知っておきたい「株の大切な法則」が隠れています。今日は一緒に読み解いていきましょう!

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そもそも「決算発表」って何?
まず基礎知識のおさらいです。
上場企業(株式市場に株を公開している会社)は、年に4回、自分たちの会社がどれだけ儲けたか・売上がいくらだったかを世の中に公開しなければなりません。
これを「決算発表(けっさんはっぴょう)」と言います。
決算発表では、投資家が「この会社はこれからも儲かりそうか」を判断するための情報が詰まっています。
- 売上高はいくらだったか?
- 利益はいくらだったか?
- 来年はどのくらい儲かりそうか(業績予想)?
この発表をみんながドキドキしながら待ちわびるのが、決算シーズンの株式市場の風景です。
なぜ「延期」しただけで株価が10%も下がるの?
ここが今日の核心です。
第一三共は決算をやめたわけではありません。「4月27日に発表する予定だったものを、5月11日に2週間延ばします」と言っただけです。
なのに、なぜここまで株価が下がったのでしょうか?
答えはシンプルです。投資家が悪い想像をしてしまったからです。
こんな場面を考えてみてください。
放課後に友達から「今日ちょっと話があるんだけど、やっぱり明日にする」とLINEが来たとします。「何の話だろう?」とドキドキしませんか?良い話なら急いで言いたいはずなのに、わざわざ後回しにするということは……
株式市場の投資家も同じ心理で動きます。
「決算を遅らせるのは、何か発表しにくいことがあるからじゃないか?」
「大きな損失が出ていて、その計算に時間がかかっているんじゃないか?」
「サントリーへの売却と関係した何かが起きているのでは?」
こういった悪い想像が一気に広がって、「とりあえず売っておこう」という動きが連鎖したのです。
第一三共が延期した「本当の理由」
会社側は発表でこう説明しています。
「急速に変化する事業環境を踏まえ、がん治療薬などオンコロジー(腫瘍学)製品群の供給計画を見直している。製造を委託している会社との契約に関する損失補償の金額を計算するのに、もう少し時間が必要だ」
少し難しいですが、かみ砕くとこういうことです。
第一三共はロキソニンなどの市販薬はサントリーに売る一方で、がん治療薬「エンハーツ」「ダトロウェイ」など最先端の薬を自社で作って世界中に売るという戦略を進めています。
しかし世界の医療環境や薬の需要が「急速に変化」したため、当初の計画通りに薬を作る量が変わってしまいました。製造を依頼していた工場に「やっぱりこの量は作らなくていいです」と言うと、キャンセル料のような費用(損失補償引当金)が発生します。その金額がいくらになるのかを正確に計算するのに時間がかかっているということです。

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「不透明感」が投資家を一番不安にさせる
ここで投資家目線でとても大切なことを学びましょう。
投資家が最も怖いのは、実は「悪いニュース」ではなく「不透明なニュース」です。
「損失が100億円出た」という確定した悪いニュースと、「損失が出るかもしれないけど、いくらかはまだわからない」という不透明なニュース、どちらが投資家を不安にさせるでしょうか?
実は、後者の「わからない」の方が怖いのです。
「100億円の損失」なら「100億円分、株価が下がればいい」と計算できます。でも「わからない」は、「もしかしたら500億円かもしれない、1000億円かもしれない」と際限なく最悪のケースを想像してしまいます。
今回の第一三共の決算延期はまさにこれです。「損失額を計算中」という状態は、投資家にとって「わからない状態」を意味します。
だから株価が大きく売られたのです。
カブサーで学んだ「選択と集中」との関係
先日のサントリー記事で学んだことを覚えていますか?
第一三共はロキソニン・ルルなどの市販薬事業をサントリーに2465億円で売却し、そのお金をがん治療薬の開発に集中投資するという「選択と集中」の戦略を発表していました。
今回の株価急落は、その集中する先のがん治療薬事業で問題が起きたことを示唆しています。
まるで「集中する方向を間違えたのでは?」という市場の疑問が、株価という形で表れているともいえます。
投資家目線で整理してみよう
| 出来事 | 意味 |
|---|---|
| 決算発表の延期 | 「何か発表しにくいことがある」と市場が判断 |
| 損失補償引当金の計算中 | いくら損するか「わからない」状態=不透明感最大 |
| 日経平均は上昇中なのに急落 | 地合いが良くても個別株は全く別の動きをすることがある |
| 4年ぶりの安値 | 投資家の信頼が大きく揺らいでいる証拠 |
「決算延期」から学ぶ3つの投資の教訓
教訓① 「決算は投資家への通知表」
会社にとって決算発表は、株主(株を持っているみんな)への大切な報告の場です。「遅れる」「延期する」という行為は、それ自体が「悪い知らせを隠しているのでは?」と疑われる原因になります。
教訓② 「不透明感は株価の最大の敵」
確定した悪いニュースよりも「まだわからない」という状況の方が、株価にとってダメージが大きいことがあります。投資家は「わからないもの」にお金を預けたくないからです。
教訓③ 「地合いが良くても全部が上がるわけじゃない」
今日の日経平均は最高値圏で推移していました。でも第一三共は10%以上下落しています。上昇相場の中でも、個別の会社の事情によっては大きく下がることがある。これが株式投資の難しさであり、面白さでもあります。
まとめ:5月11日の決算発表に注目!
第一三共は5月11日に、延期した決算発表と新しい中期経営計画を同時に発表する予定です。
このとき「損失がいくらだったか」「これからの計画はどうなるか」が明らかになれば、不透明感が解消されて株価が戻るかもしれません。逆にさらに悪い情報が出れば、もっと下がる可能性もあります。
みなさんも5月11日の第一三共の発表に注目してみてください。「発表前後で株価がどう動くか」をリアルタイムで観察するのは、投資家として最高の勉強になりますよ!
- 本記事における個別銘柄や投資に関する記載は、あくまで情報提供のみを目的としたものであり、特定の株式の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。実際の投資にあたっての最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
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