12月4日、日本の「長期金利」が1.935%まで上昇し、ニュースで大きく取り上げられました。この数字は実に18年ぶりの高さ。金利という言葉はよく聞くけれど、「結局それって何?」「上がると何が困るの?」と思う人も多いはずです。
そこで今回は、このニュースを初めて知った人でも理解できるように、金利の基本から上昇した理由、そして私たちの暮らしへの影響まで、丁寧に解説していきます。
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そもそも「長期金利」って何のこと?
まずは基本から。「金利」とは、お金を借りたときに払う「お礼」のようなものです。
たとえば友だちから100円を借りて110円返すと、増えた10円が金利。国も同じように、お金が必要になると「国債」という借用証書を売ってお金を集めます。
国債を買った人には「ありがとう。数年後に少し増やして返すね」という約束があり、その「少し増やす部分」が金利です。
今回注目されているのは、10年後に返すタイプの国債(10年債)につく金利のこと。これが12月4日に 1.935% まで上がり、2007年以来の水準になったのです。
なぜ金利はここまで上がったのか?──主な理由は3つ
今回の金利上昇には、大きく3つの背景があります。
① 日銀の「利上げ予想」が広がっているから
日本の金利は、日本銀行(日銀)の方針で大きく動きます。市場では「次の日銀会合で政策金利が0.75%まで上がるのでは?」という予想が広がっています。
人々が「利上げしそう」と思うと、「近い将来、国債の金利も上がるはず → なら今のうちに金利が動き出す」という流れになります。
金利は「予想」によって先に動く特徴があるため、今回もその影響が大きいと見られています。
② 国がこれから大きな借金をする見通しがあるため
金利が上がる背景には、国が発行する国債の「量」も関係します。
政府は補正予算のため、11兆円以上の新しい国債を発行する予定です。さらに、来年度の予算でも国債発行が増える可能性が高いと言われています。
国債がたくさん市場に出ると、「もっと多くの人に買ってもらう必要がある → そのために金利を高くしないと売れにくくなる」このような仕組みで金利が上がりやすくなります。
③ 30年国債の入札による一時的な影響
12月4日は、30年国債の入札日でもありました。
国債の入札がある日は、「売る人が一時的に増える → 国債価格が下がる → すると金利が上がる」こうした短期的な動きも金利を押し上げる原因になります。
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金利が上がると何が起きるのか?
「金利が上がった」と言われても、最初はピンとこないかもしれません。しかし金利は、家計にも投資にも非常に大きな影響を与える重要な数字です。
企業への影響:借金の負担が増える
企業は設備投資や運転資金のために銀行からお金を借ります。金利が上がると、その返済負担が増えます。
すると、
- 新しい事業に踏み出しにくい
- 利益が減る
- 結果として株価が下がることもある
という流れにつながります。
家庭への影響:住宅ローンが上がりやすくなる
金利が上がると、住宅ローンの金利も連動して上昇しやすくなります。
ということは、
- 家を買うときの総返済額が増える
- 住宅購入のハードルが上がる
という影響が直接的に出ます。
投資への影響:「金利はすべてを動かす」と言われるほど重要
投資の世界では、金利が株式市場にも為替にも、大きな影響を与えます。
金利が上がると、
- 安全資産の国債が魅力的になる
- 株式からお金が流れやすくなる
- 円高になりやすい
など、さまざまな変化が同時に起こります。だから投資家たちが「金利に敏感」なのです。
日銀の姿勢も市場に影響
日銀の植田総裁は最近、「利上げしても、まだ金融はかなり緩い状態」と発言しています。
これは市場にとって、
- まだ金利は上がるかも
- 利上げが一度では終わらないかもしれない
というサインに聞こえます。こうした一言で市場の空気が変わり、金利も株価も動きやすくなります。
ニュースのまとめ:3つの理由を押さえればOK
今回のポイントを整理すると…
- 日銀が利上げしそうだという予想が広がった
- 国がこれからたくさん借金(国債発行)をする見通し
- 30年国債の入札が金利を一時的に押し上げた
この3つで、10年国債の金利が18年ぶりに高い水準まで上がった、というわけです。
金利のニュースは一見むずかしく感じますが、背景がわかると「なるほど、だから株価が動いたのか」「住宅ローンに影響が出そうだな」と理解できるようになります。金利は今後も何度もニュースに出てくるテーマです。これを機に少しずつ慣れていくと、投資の判断もしやすくなります。
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